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7月8日(月)全校朝会「江戸しぐさ」(副校長の話)
今日は、「江戸しぐさ」というお話をしますね。江戸は、みなさんのひい、ひい、ひい、ひい・・・おじいさん、おばあさんが生きていた時代ですね。
江戸は、徳川家康によって、町づくりが進められ、日本の中心として全国各地からたくさんの人が集まり、百年もたたないうちに、人口百万人を超える世界最大の都市になりました。たくさんの人々が住む江戸では、だれもが平和な世の中が続くことをのぞみ、争いをなくして、共に生きていこうと思っていました。そんな江戸の町で気持ちよく生活していくために、江戸ならではのルールやマナーが生まれました。それが「江戸しぐさ」です。
例えば、江戸しぐさの一つに「肩ひき」があります。江戸のまちの広い通りには荷物を積んだ車や物売りが行き来し、多くの人でにぎわっていました。通りから一歩入ると、細い道が網目のように広がり、生活する人々が行きかっています。狭い道で向こうから歩いてくる人とぶつからないようにスイスイとすれ違うには、どうしたらよいでしょう。すれ違う瞬間、お互いに肩と腕をすっとひねるようにすると、するりとスムーズにすれちがうことができます。これが「肩ひき」という江戸しぐさです。他にも「傘かしげ」という江戸しぐさがあります。雨の日はみんなが傘をさしているとぶつかってしまいますね。肩ひきと同じように、そんな時、おたがいに傘を人のいない外側にななめに傾けてすれちがう「傘かしげ」という江戸しぐさがありました。「傘かしげ」をすると、傘と傘がぶつかることも、傘から落ちる雨でぬれる心配もありませんね。この江戸しぐさも、見知らぬ人どうしがかわす、なごやかなあいさつだったのです。
もうひとつ、みんなに紹介した江戸しぐさがあります。それは、「お心(しん)肥やし」という江戸しぐさです。「肥やす」というのは、栄養を与えて太らせること。また、いろいろな経験をして、ものの価値や判断する能力を高めるという意味もあります。江戸の人たちは、おいしいものを食べて体を肥やすことより、心を肥やすことが大切だと考えていました。こどもたちは、昔の学校である寺子屋に通って、読み書きや計算などのほか、社会で役立ついろいろな知識を勉強しました。また、ものを見たり聞いたり経験を重ねる中で、心を肥やしていったのです。大人たちも習い事などして、自分を磨く努力をしていました。豊かな心が人として一番大切。この考え方が江戸しぐさの元になっているのです。「自分さえよければいい。」「勉強さえできれば許される」などというのは、心の貧しい人が考えることです。これでは、みんなが楽しく過ごせませんね。平和な世の中は、豊かな心がなければ成り立ちません。
川南小のみなさんも、あと数日で夏休みですね。ぜひ、「お心肥やし」で豊かな心を育ててください。先日、図書館で4年生の男の子に会いました。その子は、図書館の方に読みたい本をリクエストし、本の検索の仕方を習っていました。その子のように、本を読むことが、まさに「お心肥やし」だと思います。川南小学校の図書館でも夏休みは5冊本が借りられようです。ぜひ、みんな5冊借りて、「お心肥やし」してください。
また、夏休みは様々な小学生向けのイベントがあります。お家の方と、様々な体験コーナーに参加するものよいでしょう。夏休み36日間、みなさんは、どんなことにチャレンジするのでしょう。夏休みの「お心肥やし」で一回りも二回りも成長したみなさんに会えることを楽しみにしています。
公開日:2019年07月08日 09:00:00
更新日:2019年07月08日 13:39:06